産業応用
化学工学の発展の歴史
化学システム工学は現代社会における技術課題の発掘とそのSolution提供に対する意識が極めて高い学問体系です。石炭を蒸気エンジンの熱源として利用する産業革命と同時に勃興した化学の時代からその体系は熱力学の発展とともに進化してきました。それと同時に時に産業界からの反発を受けつつも、社会の要請に応じて課題の追求を行ってきたことは公害問題に古くから取り組んできた本専攻の歴史を振り返っても明らかと言えます。
現代において環境や衛生の改善は喫緊の課題であり、Globalに諸分野との連携を取りながらシステム的に解を見つけていく必要があります。その時に経済性、効率を鑑みた実現可能性を追求するには、化学物質がどのような形で変遷しているかということに関する数値的な解析が極めて重要となります。すなわち化学技術の数値化を行うための方法論を追求しているのが化学システム工学です。当然企業においてはその事業の採算が成り立つか、あるいは将来性が見込めるかというような評価の技術ベースと密接に関わっています。
ところで化学システムとはなにか?
化学物質の変化が関与するあらゆる開放系の総称であり、大きくは地球規模のCO2やエネルギーの変動とそのバランス、小さくは生体内のたんぱく質や神経情報の動的な恒常性に関わるものと言えます。
言い換えると世の中のほとんどのシステムに関係する学問と言えます。
したがって産業の応用範囲は極めて広く、いわゆる製造業において化学システム工学の卒業生が活躍できない場所はないと言って過言ではありません。
この化学システムが最大効率でその機能を発揮するにはそのシステムにおけるボトルネックは何かということを常に定量的に解析して、物質探求やシステムの構造設計、機能設計につなげることが求められますが、これこそが化学システム工学体系の本質です。
産業応用の観点からは時に全く無関係に見える、生物や自然のパターン形成のメカニズムから習って、それらを再構成して新しい化学システムを構築することもこの学問の一環です。
このような広さと深さをもつ化学システム工学を学ぶにはしっかりした基礎学問の習得も求められます。化学のみならず、応用数学、物理そして生物の知識が課題に応じて必要となり、また機械工学や電子工学など他の工学体系にも踏み込むことも時に求められるため、常に学び続けるという姿勢が最も要求される学問ともいえます。
その観点では異分野交流に対しても極めて親和性が高く、であるからこそ領域に拘らない産業応用における価値は非常に高いと言えます。