企業インターン・進路 INTERNSHIPS & CAREER PATHS

プラクティススクール

プラクティススクール

1. 沿革

 プラクティススクール(PS)の発祥は、1999年の夏にさかのぼります。PSの前身となるインターシップが米国MITと共同で国内化学メーカーにて実施され、大きな成果を上げることができました。そこで、2001年、より先端的な研究開発を担える人材の育成を掲げ、東京大学プラクティススクールが誕生しました。今では、毎年10名前後の学生と5名前後の教員が参加し、充実したプログラムが行われています。現在もこのPSは、化学システム工学分野では、世界でもMITと化シスだけが提供している独自のプログラムで、化シスを特徴付けるカリキュラムとして認知されています。

2. 概要

 他の企業インターンシップにないPSの大きな特徴は、学生だけでなく、教員も一緒になって企業に入り込み、企業が実際に抱える課題について、腰を据えて研究することにあります。学生だけでなく教員も参加することで企業も事業に直結した挑戦的なテーマ設定が可能となります。また、準備段階から、企業の研究者、大学の教員が参画し学生と共にチームを形成し、入念な準備を行います。そのため、学部や大学院で学ぶ知識や技術が企業における最先端の研究開発の現場でどのように生かされるかについて、深く体験することができます。

3. テーマの内容

 多くはいわゆる機能性材料の製造プロセス、機能設計、機能改良、新機能発現に関わる様々な技術課題に関してテーマ化されます。
 これらは学部あるいは修士の一年前期でのカリキュラムで学ぶ、反応および拡散プロセス、相変化プロセス、あるいは流動や熱の移動などの移動論に基づく解析などをベースに、他の学術分野の知識を統合する形になっています。
また、最近ではMaterials Informaticsを活用したテーマにも取り組んでいます。

【2020年度研究テーマ】

・複雑な酵素反応の速度論解析・最適化指針
・新規水素製造技術にかかわる材料探索
・CO2還元プロセスの素反応解析
・高機能ポリマー材料の材料設計
など

【2021年度研究テーマ】

・Materials Informaticsの活用による新材料候補の探索
・機能製品の製造プロセス解析
・新規重合プロセスの数値シミュレーション 
・数理モデルを使った機能性コーティングの挙動解明
など

【2022年度研究テーマ】

・ポリマーブレンドの構造制御とプロセスの解析
・電気化学プロセスのスケールアップ可能性検討
・樹脂難燃性の機構解析と設計
・半導体関連材料とプロセスの解析
・ Materials Informaticsの活用による新規材料候補の探索

【2023年度研究テーマ】

・ポリマーブレンドの構造制御とプロセスの解析
・マイクロ波の化学プロセスへの適用可能性検討
・合成石英に関する検討~泡の低減~・圧電フィルムのセンサ機能発現機構解析
・添加剤による樹脂組成物の粘度制御技術開発
・ Materials Informaticsの活用による新規触媒候補の探索

4. 参加企業

年度 参加企業
2023 ENEOS株式会社、住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社
2022 ENEOS株式会社、住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社
2021 ENEOS株式会社、住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社
2020 ENEOS株式会社、住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社
2019 ENEOS株式会社、三菱ケミカル株式会社

5.スケジュール

4月 PS開講
4月~5月下旬 基礎(学内における座学)
企業での実習に先立ち、基礎演習を週一回行ないます。現象の数理モデル化手法、コンピュータプログラムの作成など、今後の課題解決に必要なスキルを身につけます。
また過去の事例を基にPSでの検討内容について感覚をつかみます。光反応で生成する物質の移動現象、ナノコンポジットの流動、晶析プロセスにおける不純物制御、複数の素反応を含むプロセスの最適化などから選択されます。
必要に応じてデータ科学あるいは量子化学計算なども演習の対象とします。
5月下旬

テーマ説明会

派遣先企業から具体的なテーマの説明が行なわれます。このテーマは、企業によって様々ですが、どれも企業が本質的な課題解決を要求している、やりがいのあるテーマとなっています。なお、学生は 1チーム3名程度に分かれ、指導教員とともに1テーマ1チームの体制で検討を進めて行きます。 テーマの質ならびにチームによる実行体制はPSの大きな特徴の1つと言えます

6月~7月下旬 事前検討(学内における座学)
実習開始までのおよそ1.5~2ヶ月間で、各チームの学生は各自与えられたテーマの技術的背景を学習し、具体的な課題の解決に必要なポイントを押さえ、数理モデル化、シミュレーションプログラム作成の準備などを進めます。
7月下旬~9月 課題解決(派遣先企業における実習)
7月下旬に、派遣先企業への常駐が始まります。常駐期間は正味6週間となります。この期間、学生は大学教員、企業社員と共に、与えられたテーマに対しモデル化、シミュレーションを行ない、研究を重ねて解決案を提案します。また、キックオフミーティング、中間発表会、最終発表会が開催されます。
終了にあたり最終報告書を提出します。これまで多くの場合報告書は修士論文に匹敵する、質、量ともに充実したものとなっています。

6. 単位互換・日当

 PSに参加した修士課程1年の学生は、半年間の長期に渡り企業の研究に従事することとなるため、履修学生には、終了時に専攻内の他のインターンシップの単位数(1~4単位)よりも多い「7単位」が与えられることになっています。
 また、参加する学生は企業に長期間拘束されることになるため、生活面で支障が無いようにという配慮から、日々の生活に支障が無い程度の日当が付与されます。

7. 参加者の声